J-POP レビューステーション

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はしもとねねの名曲「暮らし」レビュー ~優里『天歌一武道会』で片鱗を見せた稀有な才能~

インターネットが発達したおかげで、自宅にいながら素晴らしい才能を見つけられるようになった。
昔であれば埋もれていた才能がインターネットでの発信により、どんな地方に住む人々にも届くようになったからだ。

私は、インターネット上で公開となるオーディション番組を見るのが好きだ。
今年、YouTubeの優里チャンネルで『天歌一武道会』という歌唱オーディションがあった。
グランプリになれば、CHIMERAZチームからの楽曲提供と配信をしてもらえる。

私は、この歌唱オーディションの中で、21歳の大学生ながらオリジナル曲をギターを弾いて歌う、はしもとねねに魅了された。

耳に残るメロディー、そして、唯一無二のハスキーボイス。
はしもとねねが歌ったのは、オリジナル曲「暮らし」だった。
サビだけの歌唱しか公開されなかったが、私は、あまりにも大きな衝撃を受けた。
47人中46番目の登場であったが、他の出場者がほとんど記憶から消えてしまうほど、はしもとねねは、圧倒的だったのだ。

はしもとねね登場は、16:20頃から

youtu.be

はしもとねねは、本選出場はならなかったが、そもそも楽曲提供を必要としないほど、完成度が高いオリジナル曲を作れるから、選出されなかったとさえ思えるステージだった。

それから私は、はしもとねねのYouTubeチャンネルを見つけ、ショート動画で公開となっていた「暮らし」を毎日聴くようになった。
そのうち、どうしてもフルバージョンが聴きたくなって、フルバージョンを要望して、アップしてもらった。

youtu.be

歌声とメロディーと詞が見事に融合した名曲である。

楽曲が描く世界は、若く感受性が豊かな男女の繊細な恋愛事情。
男性主人公は、恋をする女性に素直な気持ちや思いやる言葉をなかなか伝えることができずに苦悩している。
それは、女性の方も同じで、好きでいながらも、ちょっとした心の行き違いで、うまく感情を通い合わせられない。
「ごめんね」や「ありがとう」。そんなたった二言で解決できるはずなのに・・・。
だから、しばらく一緒に暮らしてほしい。

主人公は、女性の優しさを誰よりも知っているだけに、もっとお互いを分かり合えるようになりたい。
悩みを抱える彼女をもっと愛したい。一緒に暮らし始めると、そんな気持ちが次第に高ぶり、ずっと一緒に暮らしたい、と願うのだ。

終始リズムに乗ったメロディーが極めて心地いい。唯一無二のハスキーボイスを巧みに駆使する歌唱も、聴衆に切なさを添えて伝わってくる。

私が彼女のセンスに感嘆したのは、サビで「だからお願い」のところを一気に歌わず、「お」で切るところだ。
これは、かつてZARD坂井泉水が周囲に反対されながらも「負けないで」のサビで「どんなに離れてても」を「どんなに離」の「な」で切って歌い、大ヒットしたのを思い出した。

「暮らし」は、「負けないで」と同様、どこをとっても名曲である。
はしもとねねには、この曲をきっかけに国民的アーティストへの道を歩んでほしい。
そう期待せずにはいられない名曲「暮らし」である。

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