J-POP レビューステーション

音楽の言語化をテーマに、J-POPの名曲やアーティストをレビューするブログです。

川崎鷹也「魔法の絨毯」レビュー

2021年の上半期最大のヒットと言えば、川崎鷹也さんの「魔法の絨毯」。
ストリーミングで人気1位、カラオケでも人気1位。

現時点でTikTokの再生数が2億7000万回以上、YouTubeの再生回数も4000万回以上を記録。
2021年最大のヒット曲となる可能性が高そうだ。

思えば、昨年、瑛人さんの「香水」がTikTokから火がついてYouTubeでも大ヒットし、社会現象になるほどのブームになった。
「魔法の絨毯」もヒットの仕方が「香水」とよく似ている。2年連続でこの国最大のヒット曲がSNS発信から、と言っても過言ではない。

スマホの普及によって、テレビやラジオからではなく、インターネットから新たな才能が出てくる時代になった。
相変わらず、大手事務所や力のあるメジャーレーベルの猛プッシュから世に出る才能もあるが、今後は、いろんな地方から個人発信で世に出る才能の方が増えていくだろう。

「魔法の絨毯」の歌の内容は、無名だった川崎鷹也さんの心境を反映した内容になっている。持っているものは何もなくて、あるのは愛情だけ。
私は、聴いていて、玉置浩二さんの名曲「メロディー」を思い浮かべた。あの曲は、何もない若者たちが集まって楽しく歌って過ごした時代を後から回想するストーリーだ。

「魔法の絨毯」では、主人公は、何もない若者だけど、恋人への想いだけは、誰よりもある。
だから、映画の主人公のように、自分にないほどの力で恋人を守りたい。魔法は使えないけれど。

アメリカ映画『アラジン』をサビの比喩に使っているところが秀逸で、大きなインパクトを持っていて、1度聴いたら忘れない。

楽曲の構成も、シンプルなメロディーのように感じるが、実際は、1番は静かなAメロからサビへ移り、2番は、アップテンポなAメロから、情熱的なBメロを経てサビへ移る。飽きさせない趣向が凝らされている。

さらに、時間とともに盛り上がって行く構成も、歌の世界にうまく聴衆を引き込んでいく。
そして、歌の内容にぴったりの、素朴で優しい歌声。

ヒットする要素が多数詰まった名曲である。

 

それでありながら、ギター1本でカバーできる手軽さもあって、様々な人々がカバーしている。

シンガーソングライター畑中摩美さんは、ギター弾き語り動画と、ギター講座動画を制作してくれている。


インターネット上で、まだまだ人気が広がりそうな「魔法の絨毯」。
下半期も大ヒットしそうである。