J-POP レビューステーション

音楽の言語化をテーマに、J-POPの名曲やアーティストをレビューするブログです。

「最後の雨」の詞に感じた「SAY YES」の大きすぎる影響

今月、畑中摩美さんがSing&Winというカバーソングコンテストに参加したので、課題曲「最後の雨」を久しぶりに何度も聴きました。
メインボーカル、コーラス3人分、ギター2人分の1人6役での豪華なカバー動画になっていて、耳でも目でも楽しめます!
まるでハードオフ永田さんのよう。

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畑中摩美さんと言えば、2017年にASKAさんがYouTube上で開催した作詞作曲企画「君が、作詞作曲してみな!『ASKAのFellowsを、私が作ってみた』」で名曲「The One」を発表して、Fellowsの方々に絶賛されました。

今回のカバーソングコンテストは、それを思い出させてくれましたね。
ASKAさんのときの編曲に対して作詞作曲する企画ではなく、主催者に選定された10組が課題曲「最後の雨」をカバーする、というもの。YouTube公開後2週間で最も再生回数が多かったら優勝になるそうです。現在のところ、畑中摩美さんは、トップで再生回数1万回を超えていますが、接戦ですね。
ここまで来たら、ぜひ優勝してほしい!
畑中摩美さんの再生回数集計は、6/19 24:00までだそうです。

本家の中西保志さん歌唱動画も気になって見ていますよ。懐かしい!

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中西保志さんの「最後の雨」は、1992年8月に発売となり、有線でじわじわと火が付き、異例のロングヒットを記録。
カラオケで歌うと映える曲なんですよ。ロングヒットしたのは、当時のカラオケブームも味方したのでしょう。累計90万枚ほど売れたようです。
そして、その後、いろんな歌手がカバーして、発売から31年たった今も歌い継がれています。歌っても気持ちいい曲ですからね。

久しぶりに何度も聴いているうちに、やけに耳に残る歌詞があったんです。

「言葉にできないのが 愛さ
 言葉では君を繋げない」

この詞、かなり「SAY YES」を意識して作ってるなぁ、と。
女性作詞家の夏目純さんが作詞しているそうです。
「最後の雨」の約1年前となる1991年7月に発売となった「SAY YES」の詞はこちら。

「言葉は心を越えない
 とても伝えたがるけど 心に勝てない」

これを見ると、「最後の雨」は、「SAY YES」を本歌取りした、と言っても過言ではないですね。
さすがは、300万枚近く売れただけのことはあります。
ASKAさんのこの詞は、擬人法を使っています。人間でない「言葉」という存在に対し、あたかも人間のように生命感や意思を与えています。
ASKAさんの詞の文学性の高さを物語っていますね。
当時は、こんな擬人法の歌詞をまず見かけなかったので、衝撃的でした。

で、「最後の雨」も、その影響が垣間見えます。

「微笑みは もう二人の夢を見ない」
のところ。顔つきである「微笑み」という存在に意思を与えています。

超大ヒット曲が世に登場すると、似た曲調の曲が一気に増えてくるのと同じで、詞もASKAさんに影響を受けて、似た詞が世に増えてくるんですよ。
そんな側面から見ても、「SAY YES」は、時代の流れを作った神曲ですね。

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