J-POP レビューステーション

音楽の言語化をテーマに、J-POPの名曲やアーティストをレビューするブログです。

2020年にYouTubeでよく聴いたオリジナル曲ベスト10

今週は、私が2020年にYouTubeでよく聴いたオリジナル曲ベスト10を発表させていただきます。
私が今年聴いた楽曲になりますので、発売は今年とは限りません。
そして、特定のアーティストに偏るのを防ぐため、1アーティスト1曲限定となっております。

①「自分じゃないか」ASKA

今年、ASKAさんが企画した3週連続新曲配信の2曲目ですね。インパクトが最も大きいこの楽曲をよく聴きました。

新型コロナウイルス感染拡大中の世相を反映したロックとなっています。歌いだしは、少しダークに始まり、サビで感情が爆発する対比が強く印象に残ります。

どんなに常識が覆ったとしても、すべては自分に行きつく。
そんな哲学的な響きさえ感じられます。

「いろんな人が歌ってきたように」からの流れを引き継ぐ名曲ではないでしょうか。


②「君に逢いたいだけ」Chage

チャゲアスの1980年代を支えた編曲家瀬尾一三さんが編曲を担当されて、大きな話題を呼びました。

Chageさんの年輪を感じさせる情緒豊かなメロディーとソロの名曲「アイシテル」のテーマを引き継いだ詞が沁みます。

そして、この楽曲も、新型コロナウイルスの影響を感じさせます。
主人公の逢いたい人を描きながらも、Chageさんがライブでファンに逢いたい、という気持ちが色濃く反映されているからでしょう。


③「憧れてきたんだ」あいみょん

今年のあいみょんと言えば、「裸の心」がUSEN年間1位の大ヒットを記録し、DISHに提供した「猫」も大きな話題となるなど、さらに躍進した印象があります。

しかし、私がはまったのは、2017年のメジャーレビューアルバム『青春のエキサイトメント』の1曲目に収録となった「憧れてきたんだ」。

その発端は、このインタビュー記事を見つけたからでした。

あいみょん “青春の興奮から生まれた音楽”が濃縮されたアルバム。心に突き刺さる歌声、エッジの効いた詞が生まれる秘密を探る』
https://tokyo.whatsin.jp/119423

ASKAさんに向けて歌ってたんだ、ということを知り、目頭を熱くしながら繰り返し聴きました。


④「拝啓、少年よ」Hump Back

AbemaTVで格闘技の試合を見ていて、入場曲に使用されていた曲に、たった1回聴いただけで魅了されました。

友人への熱い想いがストレートに伝わってきます。リズムに乗った言霊は、強い響きを持ちますね。

Hump Backの2018年のデビュー曲で、スマッシュヒットを記録したようです。1200万回再生を超えてるので、若い人々にかなり人気があるんですね。

作詞作曲・ボーカルを務める林萌々子さんは、シンガーソングライターとして、素晴らしい才能の持ち主です。


⑤「信じる友へ」宇海

今年、ASKAさんが宇海さんの歌唱表現力を絶賛して大きな話題となりました。
「信じる友へ」は、宇海さんが所属するユニット「815-ハチイチゴ-」のオリジナル曲です。
2018年のアルバム『十色生』の収録曲なのですが、今年、YouTubeで聴いて、魅了されました。私は、沖縄を感じる音楽が好きで、この曲は、その中でもトップクラス。

そして、澤近泰輔さんのピアノ演奏をバックに情感豊かに歌い上げる宇海さん。
以前、ミュージカルで舞台に立っていたというだけあって、声量が豊かで、芯がしっかりしている上に艶やか。
サビのメッセージ性の強さがぐいぐい入ってきて、こみ上げるものがあります。


⑥「香水」瑛人

今年、最大の話題曲と言えば、「香水」でしょう。
無名だったインディーズアーティストの楽曲でありながら、SNSによる拡散で大ヒットした革命的名曲です。

音域が広くなくても歌いやすいメロディーとJ-POPの王道を行く構成。
アコースティックギターによるシンプルなアレンジ。
優しくも熱い、心地良い歌声。
LINEやインスタを意識させる今風の情景描写と、失恋や挫折を描いた共感性の高い詞。
普段着の自然体で撮影し、瑛人の素朴な人柄が垣間見えるMV。

それらが絶妙に融合し、大ヒットしました。


⑦「夜に駆ける」YOASOBI

星野舞夜さんの小説『タナトスの誘惑』を原作として、小説を音楽にするユニット「YOASOB」が制作した「夜に駆ける」。

物語性に富んだ詞と、リズミカルかつ心地良いメロディー、ikura(幾田りら)さんのボーカルが絶妙に融合して、ヒット曲の要素をすべて満たしているように感じます。

上記のYouTube動画は、これもまた今年話題になったチャンネル『THE FIRST TAKE』でikuraさんが歌うTHE HOME TAKEバージョン。
これからは、アーティストが自宅やプライベートスタジオから動画を発信する時代が訪れそうです。


⑧「シロヨヒラ」川島ケイジ

今年は、Chageさんとのオンラインライブ共演も話題になった川島ケイジさん。デビューのきっかけも、『Chage Fes 2015』でしたね。

今年発表したオリジナル曲の「シロヨヒラ」は、胸に沁みる名曲です。タイトルは、「白いアジサイ」を意味しています。
亡くなった人への残された人の想いを描いており、歌いだしのアカペラから一気に、温かい情感の世界に引き込まれていきます。

玉置浩二さんの歌声を彷彿させる、とよく評される川島ケイジさん。どんどん玉置さんの域に近づいているように感じます。


⑨「あなたがいることで」Uru

「プロローグ」に魅かれて以来、注目してきたUruさん。
かつては、YouTubeでカバー動画をアップして人気が出てきたのですが、当時は謎だらけの歌手でした。

最近は、どんどん有名になってきたおかげで、メディアへの露出も増えてきましたね。

今年も、オリジナル曲「あなたがいることで」が大ヒットし、さらなる躍進を遂げました。
Uruさんは、歌声や詞、メロディーから推察できるように、極めて繊細な方ですね。それをしっかり楽曲に落とし込んでくれるから、多くの人々の琴線に触れるのでしょう。
この楽曲は、男性目線で少し距離ができてしまった女性への想いを歌っています。


⑩「雨あがり」宮迫博之

今年、YouTube最大の話題と言えば、雨上がり決死隊宮迫博之さんのYouTuberとしての復帰ですね。
しかも、コロナ禍で落ち込むテレビ業界とは裏腹に、YouTubeで見事に成功を収めて、芸能人が一気にYouTubeに流れ込むきっかけを作りました。
私は、「FUKUOKA」で復活したASKAさんの姿と重なりました。

でも、最初は、闇営業の印象が強く、1本目の動画は、goodマークが12万、badマークが20万と世間の反感を買いました。
しかし、2本目で天才カリスマYouTuberヒカルさんが支援して宮迫さんの魅力を引き出し、goodマーク10万、badマーク5万と好印象に大逆転。
4本目でレペゼン地球DJ社長とコラボしてgoodマーク10万、badマーク1.9万とどんどん勢いに乗って行きました。
やはり才能あるタレントは、1つのきっかけでまた多くの人々の心をつかめるんですね。

そのDJ社長が作詞作曲して、宮迫さんが歌った「雨あがり」は、まさに宮迫さんの栄光からの転落、そしてそこからの復活を鮮やかに歌い上げる名曲となり、現在、150万回を超える再生数を記録しています。


以上、私が2020年にYouTubeでよく聴いたオリジナル曲ベスト10でした。
今年は、聴いた名曲が多かったので、10曲では全然足りないような印象が残りました。