J-POP レビューステーション

音楽の言語化をテーマに、J-POPの名曲やアーティストをレビューするブログです。

瑛人「香水」レビュー ~SNSによる拡散で大ヒットした革命的名曲~


2020年最大のヒット曲になりそうな瑛人の「香水」。
配信限定シングルとして、個人で発売したのが2019年4月だが、2020年に入って爆発的にヒットした。

その要因がTikTokでのカバー動画、さらにはYouTubeでのカバー動画。

どのレーベルにも属さず、SNSによる拡散のみで、爆発的なヒット。
革命的な快挙だ。
YouTubeではMVが2020年7月18日現在で5900万回を超えている。

なぜ「香水」がここまで世間に広まったか、と言えば、若い人々にも、年配の人々にも受け入れやすい親しみやすさだろう。

音域が広くなくても歌いやすいメロディーとJ-POPの王道を行く構成。
アコースティックギターによるシンプルなアレンジ。
優しくも熱い、心地良い歌声。
LINEやインスタを意識させる今風の情景描写と、失恋や挫折を描いた共感性の高い詞。
普段着の自然体で撮影し、瑛人の素朴な人柄が垣間見えるMV。

それらが絶妙に融合し、大ヒットへと導いたと言えよう。

 

楽曲の内容にもドラマがある。

3年ぶりにLINEをいきなり送ってくる元カノ。
主人公は、怖いものなしだった元カノとの日々を、インスタ用に写真撮影した思い出から蘇らせる。

しかし、主人公は、今、失恋したばかりで、別の女性を傷つけて別れてしまった。
なのに、後ろめたさがない自らに、嫌気がさしている。

主人公は、再び元カノと付き合うつもりはないのに会い、付き合っていた頃と同じ香水「ドルチェ&ガッバーナ」の匂いを嗅いで、あの頃の日々に憧憬を抱くのだ。

でも、元カノは、タバコを吸うようになり、昔とは少し変わってしまっていた。
それと同じように、自分も、変わってしまっている。

あの頃には、もう2度と戻れないのに、元カノを見ていると、戻りたい気持ちが込み上げてくる。

でも、2人は、同じ結末を繰り返すのが怖くて、一歩を踏み出せないのだ。

誰しも、1度は、経験した頃のあるようなシーンがいたるところに描かれているのがこの楽曲の共感性の高さである。


1つの物語として聴けるほど、脳裏に映像が浮かんでくる。

 

メロディーも趣向が凝らされていて、2番のAメロの最後はメロディーを1番とは変えてきている。
そして、2番のサビは、1番の倍の長さになっている。
さらには、Cメロで込み上げる感情を抑えきれない主人公の心の叫びを描く。

楽曲の細部にまで、名曲と呼ばれる風格が備わっている。

 

最近では、お笑い芸人がカバー動画を制作したり。

香水/瑛人 MV再現 (covered by 瑛肩)チョコレートプラネットチャンネル

ミュージシャンがギターレッスン動画を制作したり

【ギターレッスン】瑛人『香水』歌詞&コード表付き 畑中摩美


YouTubeらしい企画ものが出てきたり。

【Mステ】で瑛人さんが爆笑した『香水』びっくりチキンカバー TJ【空想軽音部】

年末に向けて、「香水」がどこまで快進撃を続けるのか、目が離せない。